Vol. 4 今年は日本が活躍!のセルバンティーノ祭に行ってきました!
かつて世界有数の銀の産地として栄えた、情緒ある石畳と地下道が魅力的な中部都市グアナファト(ユネスコ世界遺産)をメイン舞台に、10月5日から23日にかけて、第33回国際セルバンティーノ・フェスティバルが開かれました。
同芸術祭は、ラミロ・E・オソリオさん(前号にインタビュー記事を収録)が事務局長に就任した2001年より、毎年、5大陸を順番に取り上げ、その大陸に属する国々の中から「名誉招待国」を選定。その国の芸術を他国よりも重点的かつ多面的に紹介してきましたが、今年は5番目の大陸「アジア」代表として、日本に大きくスポットライトが当てられました!
在メキシコ日本国大使館・広報文化センターと国際交流基金が、アーティストの招聘とコーディネートを全面サポート、さらにTOYOTAがスポンサー協力を引き受けて実現したドリーム企画。具体的には、箏奏者・吉村七重と尺八奏者・三橋貴風の合同リサイタル(メキシコの打楽器グループ、タンブコとも歴史ある教会でジョイント演奏)、メキシコ在住バイオリニスト・黒沼ユリ子のトリオ演奏、日墨共同制作のもと、メキシコ人キャストで日本語上演された日本の古典オペラ『夕鶴』、舞踏家・笠井叡(あきら)の汗と気迫ほとばしる舞台、セリフが皆無に等しく、影と効果音、身体の動きで魅せる大阪の演劇パフォーマンス集団「維新派」の新作披露、ザ・ブームの宮沢和史率いる多国籍音楽集団Miyazawasick band、和楽器の音色を現代ポップスと融合させたフレッシュ女性3人組Rinʼ、女性リーダーのカリスマぶりが光った、躍動感あふれる和太鼓グループGOCOOのライブという多彩なプログラムを通じて、「日本の伝統と今」をアピール。メキシコ在住アーティスト、島田正治(墨画家)、太田清人、奥村浩之(ともに彫刻家)の作品展や「京都」写真展、日本近代工業デザイン展等も開催されました。
Miyazawa Sick Bandのメキシコ初公演を体感!
2005年10月16日(日) グアナファト州メキシコ
「国境を越え、あらゆる境遇の人の心に響く歌」、を求めて旅を続ける宮沢和史。結成15年を迎えたロックバンドThe Boomとしての活動にとどまらず、ソロとしても、たくさんの歌を紡いできた。そんな彼が、近年情熱を注いでいるプロジェクトのひとつが、今回セルバンティーノ芸術祭で演奏を披露したMiyazawa Sick Bandだ。日本、ブラジル、キューバ、アルゼンチン出身のアーティストたちで構成された、まさに多国籍音楽集団。それぞれの土壌で育まれた才能と感性が混ざり合い、宮沢ワールドはMiyazawa Sick Bandとして、さらなる進化とパワーを見せている。
2005年初頭に行ったヨーロッパ・ツアー(フランス、ブルガリア、ポーランド、ロシア、イギリス)に続き、今秋、ブラジル、ホンジュラス、ニカラグア、メキシコ、キューバを巡る中南米ツアーを敢行。今回のツアーでも「音楽に国境なし」を体現してみせた。
宮沢和史が、表現者として常日頃から言葉と誠実に向き合っていることは、歌詞はもちろん、彼の詩集や旅のエッセイ集などからも伝わってくるが、彼の言葉は音楽とひとつになることで、さらにその力強さを増す。ミュージシャンこそ彼の天職!
記念すべきメキシコ初公演の舞台となったAlhondiga de Granaditasの野外ステージの最前列で、「SHIMA―UTA (島唄)」を聴いた。沖縄との運命的な出会いがもたらしてくれた彼の代表曲だ。そして、この歌の世界的大ヒットが、ブラジルやアルゼンチンをはじめ、国境を越えた新たな出会いをもたらし、その出会いの輪はメキシコにまで広がった。
沖縄のしらべに乗って、彼の全身から発せられるひたむきな歌声が、平和へのメッセージが、言霊(ことだま)となってグアナファトの夜に降り注ぐ。それを浴びる観客はみな、人と人とが共鳴し合う喜びで満たされていた。割れんばかりの歓声と拍手。そしてOtra、Otra(アンコール、アンコール)」の大合唱。三味線を斜めがけしたステージ中央の宮沢和史は、日本人ロックミュージシャンとしての自信と誇りで輝いていた。彼を支える他のメンバーたちの笑顔も輝いていた。興奮と熱狂に包まれた会場。音楽はやっぱり素晴らしい! 「百聞は一見にしかず」と開き直る訳ではないが、この空気と感動を文章で伝えるのは難しく、機会があれば是非ナマで体感してもらいたい。Miyazawa Sick Bandの皆様、またメキシコのステージに帰ってきてください。