Vol.6 第4回世界水フォーラム開幕!

モロッコでの第1回大会(1997)以来、オランダ、日本と3年ごとに実施されてきた「世界水フォーラム」。毎回、国連の定める「世界水の日」(3月22日)を挟んで開かれます。第4回目の今年はメキシコがホスト国。「世界的課題の解決に向けた各地域の取り組み」を全体テーマに掲げ、3月16日(木)から22日(水)にかけて、メキシコシティのセントロ・バナメックス(※最終日はホテル・カミノレアル)にて開催。世界の水問題の現状把握と改善策の協議、関連プロジェクトの進捗・結果発表のほか、閣僚級会議、一般ビジター向け(無料)の展示会やイベントであるエキスポとフェアが並行開催されます。

●日本のプレゼンスが光る第4回世界水フォーラム
メキシコシティで開催される「第4回世界水フォーラム」には、日本の政府・民間団体、企業や学生ボランティアが数多く参画しています。特にホスト国を務めた2003年の第3回大会(京都、滋賀、大阪の琵琶湖・淀川流域で開催)終了後に、運営事務局の後継組織として発足したNPO法人日本水フォーラムは、アジア・太平洋地域のコーディネーターを担当。併催のエキスポ内に、日本の企業・団体の展示を集めた「日本パビリオン」を編成するための準備調整のほか、本フォーラムの5つの枠組み:1.成長と発展のための水、2.統合水資源管理の実践、3.すべての人のための水供給と衛生、4.食料と環境のための水管理、5.危機管理のうち、5番目の「危機管理」のビーコン(コーディネータ的役割を担う機関)も務めています。また、「第3回世界水フォーラム」の名誉総裁を務められた皇太子殿下、日本水フォーラム会長である橋本龍太郎元総理の参加が予定されており、注目を集めています。

●水フォーラムを陰でサポート JICA派遣の専門家 尾島 知さん
過去最高の参加者(フォーラム参加:約2万4千人、併催フェア・エキスポ訪問者:20万人)を動員した「第3回世界水フォーラム」。その運営事務局メンバーだった尾島知(さとし)さんは、メキシコでの第4回フォーラム開催決定を受け、JICA(国際協力機構)の専門家派遣プログラムを介して、2004年7月より、メキシコ政府国家水委員会(CONAGUA)内に設置された運営事務局の助っ人アドバイザーを務めています。大阪生まれの徳島育ち。当初はメキシコ人同僚たちの至極マイペースな仕事ぶりにハラハラ。準備後半に入ってからは、その目覚ましい追い上げぶりに感心する毎日を送っています。
 ついに水フォーラム本番ですが、プライベートでは既に同じ会場で大舞台を経験ずみ。
昨年10月の『NHKのど自慢』メキシコ大会でJICAの仲間と息の合った「だんご3兄弟」を披露して審査員特別賞を獲得。「夜な夜な食事に訪れている『でいご』で、“だんごさん”ですよね?、と声をかけられたりしています(笑)」。
 ちなみに、尾島さんはダムや河川管理の技術者。日本の独立行政法人水資源機構が本来の職場です。京都で土木工学を専攻していた学生時代、ボランティアとして子供たちの野外活動を引率する度に、自然の川の美しさに魅了され、「川と接する仕事がしたい」と強く思うようになったそうです。

●できることから始めよう。 日本の伝統「打ち水」大作戦
雨水や風呂の残り湯など「二次利用水」を使い、日時を決めて、みんなでいっせいに打ち水をする。大勢で広範囲に実践することで、このシンプルな行為が真夏の気温を下げ、電力エネルギーの節約につながる…。名づけて「打ち水大作戦」(水道水は御法度!)。
 2003年の8月、電力不足の心配と深刻化する地球温暖化現象に対抗し、「都会の気温を2℃下げよう」と東京で始まった「打ち水大作戦」の輪が、日本各地で広がっています。江戸時代の庶民の暮らしの知恵が現代人の生活に取り込まれ、一般市民の環境問題に対する意識啓発や地元コミュニティ(ご近所付き合い)の活性化にも好影響を及ぼしています。
 「打ち水大作戦」は、昨年開催された「愛・地球博」(愛知万博)の長久手会場と瀬戸会場でも実施され、打ち水前に35℃ほどあった気温が、打ち水後には29℃台まで減少したそうです。また、フランス留学中の日本人学生有志の呼びかけで、パリでも実現。UCHIMIZUが、エコロジーな日本の伝統文化のひとつとして、世界中で認知される日は近い!?

●古代メキシコの民が崇めた雨の神「トラロック」
メキシコの古(いにしえ)の神々の中で、ひときわ民に崇められた「雨の神トラロック」。かつての日本にも、複数の水の神様が存在しました。どんなに文明が発達しても、“恵みの雨”が降らなければ農作物は育たず、人類の存続と繁栄の道は断たれてしまいます。暮らしに真の潤いと豊かさをもたらしてくれる「水」は自然の賜物であり、まさに神頼み的なもの。時代や価値観、生活スタイルは移り変われど、「水はあらゆる生命の源」であり続けるのです。

●世界遺産ソチミルコ 日本の技術で水質改善へ
メキシコシティ南部のソチミルコは定番の観光スポット。一帯を路面電車が走り、大規模な自然公園や植木市がありますが、一番の見所は全長189kmの水路。メキシコシティの大半が湖だった時代の名残で、巨大な憲法広場のある都心部の歴史地区と共に、1987年、ユネスコの世界遺産となりました。乗り場は計10ヶ所で、観光利用が多いのはナティビータスとクエマンコの乗り場。いずれも予約なしでカラフルな屋形船をチャーターできます(原則相乗りなし)。女性の名前が付けられたカラフルな舟たちは、80年代前半まで生花で飾りつけが施されていたそうです。乗り込むと同時に、ブリキのたらいに入った大量のビールやジュース(旅の最後に精算)が自動的に運び込まれ、いざ出発。通常、男性1人が長竿を操りながら、汗をかきかき舟を進めます。4時間コースが一般的なので、まさに体力勝負。道中、小型のカヌーを漕ぎながら、花売りや盆栽売り、タコス屋、記念写真屋のほか、マリアッチ楽団やマリンバ隊も「1曲どう?」と寄ってきます。週末は、食べ物持参でのんびり過ごす家族連れ、学生グループ等で大混雑。水路が渋滞し、すれ違いざまにゴツンとぶつかり合うこともしばしばですが、そんな時は互いにビールを掲げて「サルー!」(乾杯!)。実は水質汚染に悩まされて久しく、今年、日本政府の援助で、日本の環境機器会社マリン技研が開発した化学薬品を使わない水質浄化装置を投入したばかり。汚染改善に向け、日本の高い技術力が期待されています。