vol. 8 教えて!MEX探検隊 チアパス をゆく。

グアテマラとの国境をなすメキシコ南部チアパス州は、隣接するオアハカ州と並んで先住民人口の最も多い州。メキシコでも有数の、緑豊かな自然に恵まれた広い大地を誇っています。
109年前、榎本武揚率いる日本人移民団が初めて入植したタパチュラはチアパス第2の都市。州都トゥクストラ・グティエレスからバスで7時間の距離にあります。色鮮やかな刺繍や織物で知られる村々が周辺に点在することもあり、観光客に人気の高いコロニアル都市サン・クリストバル・デ・ラス・カサスまでは、これまでトゥクストラ・グティエレスからバスで2時間でしたが、開通まもない高速道路と橋のお陰で、約45分に短縮されました。
 ちなみに今回は、かのパレンケ遺跡の登場はおあずけ。別の機会にボナンパックやヤシュチラン等、チアパス州に存在する他の特出すべきマヤ遺跡群とともに特集を組みたいと思います。その際には、トゥクストラ・グティエレス在住で、メキシコ国立人類学歴史研究所チアパス州研究センターの考古学者、金子明さんにナビゲーター役をお願いする予定なので、お楽しみに!

●自然の偉大さにノックアウト! スミデロ峡谷の水上&地上ツアー
チアパス州の紋章に登場するスミデロ峡谷は、豊富な自然と観光資源を擁する同州の看板的存在。もうひとつの目玉はジャングルで開花したマヤ文明の栄華を伝えるパレンケ遺跡ですが、こちらは隣接のタバスコ州を拠点に日帰りで訪れる人が多いため、チアパス州の観光収入源としての役割を存分に発揮しているとはいえません。
1980年に国立公園となったスミデロ峡谷。地層年齢は1200万年以上とされ、スペイン征服時代には、奴隷化を強いられた先住民たちが、1000メートル級の断崖からグリハルバ川に身を投げたと言われています。ここ数年、ペットボトルをはじめとするゴミ問題に直面中。雨期になるとその存在が一層目立ちます。政府、市民、企業が協力して清掃作業に取り組んでいますが、解決には時間がかかりそうです。
チアパ・デ・コルソの船着場(もしくはカウァレの船着場)からボートで雄大な景観を楽しむのが観光の定番(所要時間2時間)ですが、最近脚光を浴びているのは2003年にオープンした「パルケ・エコトゥリスティコ・カニョン・デ・スミデロ」。キンタナ・ロー州で、海洋パーク「シェルハ」(リビエラ・マヤ)、「ガラフォン」(イスラ・ムヘーレス)、「シカレ」(カンクン)を運営するシカレ・グループが手がける密林の中のレジャー施設です。チアパ・デ・コルソの船着場から専用ボートで出発。大人290ペソ、子供210ペソと入場料金(送迎含む)は高めですが、プールのほか、トレッキング、マウンテンバイク、カヤック、乗馬(プール以外は要追加料金)、民族舞踊ショーなども楽しめます。山頂に設けられた数ヶ所の展望台から見下ろすパノラマも必見。トゥクストラ・グティエレスのメイン広場から遊覧バスが日に2便運行しています。

●スペイン人が建設した最古の都市 チアパ・デ・コルソ
州都トゥクストラ・グティエレスから車で約15分の距離に位置するチアパ・デ・コルソは、16世紀にスペイン征服軍がチアパスにやって来た際、最初に建設した都市。細工の施された赤レンガで作られたムデハル様式(モーロ人の影響を受けたスペインのキリスト教建築)の噴水が街のシンボル。植民地時代には、市民への生活用水供給という大役を担いました。すぐ近くにあるサント・ドミンゴ元修道院も噴水と同じく16世紀の建造物。現在は漆器博物館(スペイン語で「ムセオ・デ・ラ・ラカ」。日本製漆器も数点展示)を含めた文化施設となっています。ちなみに、取材当日は猛暑。地元っ子のまねをして、冷えた「ポソール」(カカオと茹でたトウモロコシの粒入り飲料水)でグビグビッと喉を潤しました。

●大地にぽっかり開いた鳥たちの楽園 Sima de las Cotorras
トゥクストラ・グティエレスの西方35kmに位置するオコソクアウトラに近い名所「シマ・デ・ラス・コトラス」は、日本語にすると「インコたちの深い穴」。空撮でなければフレームに納まりきれない巨大な穴(深さ140m・直径160m)の内側が密林と化し、何千という鳥たちの棲家となっています。交通の便が良くないのが難点ですが、自然の神秘としか言いようのない姿と鳥たちの威勢よすぎる鳴き声は迫力満点。早朝6時頃、鳥たちが一斉に穴から飛び立つそうです。

☆こちらもオススメ!☆

ZOOMAT チアパスに生息する動物たちと出会える場
http://www.prodigyweb.net.mx/ponce777/

トゥクストラ・グティエレス中心部(セントロ)から車で5分程のミゲル・アルバレス・デル・トロ動物園(通称ソーマット)は、チアパスに生息する多彩な動物たちを野生の環境に近い状態で一般公開。ジャガーやケツァル鳥にもお目にかかれ、併設の研究所ではこれら希少動物の保護・繁殖にも力を注いでいる。
〈開園時間〉 8:30~17;30(月曜休館)/〈入場料〉 大人20ペソ、子供10ペソ

サン・ファン・チャムラ村 San Juan Chamula
サン・クリストバル・デ・ラス・カサスから10Kmの近さ。毎週土曜日に教会前の広場を埋め尽くす大規模な市が開かれ、観光客も大勢訪れる。キリスト教と先住民時代の宗教観を融合させた独自の信仰形態から、教会には特有の長椅子や祭壇がなく、床に散らばる松の葉と無数のロウソクが幻想的な雰囲気を醸し出している。

シナカンタン村 Zinacantán
サン・ファン・チャムラ村の少し先にあり、2つの村をセットで半日ツアーを催行する旅行会社が多いが、平日は閑散としている。大胆な柄の配置が特徴的な民族衣装は、ここ数年、赤よりも紫と黒を基調にしたシックなタイプが流行。サン・ファン・チャムラと同じく、最近はヒマワリやアルカトラス(カラー)など、モダンな花柄刺繍がお土産用のテーブルクロス等に多用されるようになった。

サン・アンドレス・ララインサール村 San Andrés Larrainzar
サン・クリストバル・デ・ラス・カサスから山道を車で約45分。サン・ファン・チャムラやシナカンタンと比べると、観光客が少ないせいか、村全体が質素な印象は否めないが、この村の女性たちの織物と緻密な刺繍は、メキシコを代表する伝統工芸のひとつとして人気が高い。